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2017.03.18-20 黒部横断(ザラ峠越え)その2

3月18~20日 【黒部横断スキー】
16/17シーズ24,25,26日目(山13,14,15/ゲレンデ11)
W/(L)よねちゃん(ウチの会)
Weapons/Dynafit Manaslu, TLTSpeed Radical, TLT5 Mountain

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GWの黒部横断(または周回)は何度もやっているけれど、まだ気候の厳しい3月のそれは私にとって敷居が高く、5年前に敗退して以来再チャレンジすらあきらめていた。今回ウチの会のバリバリのよねちゃんから誘ってもらえ、意を決して一番無難なザラ峠越えに行ってきました。心配だった針ノ木雪渓の雪崩、黒部川の渡渉、中ノ谷ゴルジュの沢割れのいずれもが願ってもいない好条件でしたが、2日目は烈風と正真正銘のホワイトアウト。視界数mのザラ峠からの足探り下降に続く湿雪の下りラッセルと雪酔いしながらのルーファンにひどく時間を取られたことも事実ですが、それがなくとも私のスピードでは予定の1泊では間違えなく抜けられない長大なルートでした。無事に完遂できたのはリーダーよねちゃんのお蔭、感謝してやみません。
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18日快晴のち曇り
日向山ゲート3:45→5:30扇沢駅6:05→11:02針ノ木峠11:48→13:20針ノ木谷出合13:45→14::54黒部湖(平の渡し)→渡渉(2回)→15:45黒部湖C1

19日雪一時曇りのち雪(ザラ峠付近は烈風、湯川谷源頭部~刈込池付近まではほぼ完全ホワイトアウト)
黒部湖6:45→中ノ谷→12:14ザラ峠→湯川谷→17:05泥鰌池対岸の1334P西側(C2)
20日快晴微風
C2 6:20→湯川谷・常願寺川→12:10立山駅

初日の日向山ゲート~針ノ木峠~黒部湖の記録はこちら

19日
夜半から降り始めた雪の勢いは出発までに衰えることはなかった。
10-12時の雪の止み間にザラ峠からドロップすることを狙って、予定より1時間ほど遅らせて黒部湖を出発した。
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中ノ谷から峠越えで御山谷に入り室堂を目指すひろみっちゃんPのトレースがもう消え始めていた。
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すぐにゴルジュ入口。ここが割れていると厄介だけれど昨日の針ノ木谷の状態から考えて楽観はしていた。
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ゴルジュを振り返る。
結局沢割れも邪魔なデブリもなく普通にシール登行、たった13分でゴルジュを通過してしまった。
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ゴルジュを抜けると谷が広がり、予報通り晴れ間がのぞいてきた。
オレってBorn Under a Good Sign か? などとますます黒部横断を甘く見始めていた。この時は。
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「見えてからが遠いザラ峠」と山スキー100山にしょうこちゃんが書いているが、まさにその通り。
黒部湖からの標高差はたった900mほど、しかも佐々成正が馬で上り下りしたくらいの傾斜、しかし遠い!
登るに従い再びガスが立ち込めるようになり、ザラ峠が見えるようにすらならず私はひどく消耗した。
20170319_64_R.jpg

(ここから先は艱難辛苦、写真を撮る余裕がありませんでした。読みづらくてスミマセンがここからが核心です。)

ホワイトアウトで目前の地形すら見えない中ハイクアップを続け、傾斜を見誤って取付いた雪壁から滑落したりしながらもようやく峠が近づいてきたが、傾斜が緩んでくるとどこが峠なのか判然としない。どうやら左岸尾根に入り込んだようでGPSで軌道修正。

12時14分。爆風吹き荒れるザラ峠にようやく到着。
峠の直下数10mの急斜面は強風で雪が飛ばされハイマツが露出していたのでシートラ・アイゼンでの下降を強いられたが、そんな事は想定内。それよりも板を付けたザックを背負おうとすると風にあおられて体ごと倒されてしまい何度やってもザックを背負えない爆風には参った。不思議なことに10年前の凍傷後遺症が残る両手の指の感覚はしっかり残っていてくれた。

アイゼン歩行が下手な私はピッケル+セルフアレストポールのダブルアックスで慎重にバックステップでクライムダウンし、(難しいことはありません、私が臆病なだけ。)無事雪面まで下りたが、このホワイトアウトの中での滑走はリスクが大きすぎる。そのままアイゼン下降を続けたが急斜面の腰ラッセルに根を上げて板を履くことにした。

たまに一瞬見える灌木や地形の変化を目標にして延々と続けた斜滑降とキックターン、何とか300mほどの急斜面を下り切った。この間絶えずスキーヤートリガーのスラフ(最大ででSize1.5程度)が足元から流れっぱなし。まさにやってはいけない運を天に任せた行動追い込まれるというのはこういうことだったのか。

傾斜が緩むと視界も多少良くなったがフラットライトで地形の凹凸が全く見えず、何度も飛ばされて転倒した。

どの辺りか記憶にないが、堰堤が出始めた辺りからは視界は良好になったが今度は湿雪の緩傾斜。下りラッセルになってしまった。兎谷を越えて工事用道路(もちろん雪の下で見えない)に乗り、1134ポコを回り込んだところで力尽きテントを張ることにした。

ザラ峠到着からここまで5時間を要したが、今改めて考えると①峠の爆風、②完全無欠のホワイトアウト、③雪崩、④目前の凹凸が全く見えないフラットライト、⑤下りラッセル。

条件悪すぎでしょ。さすが黒部横断、甘かない。
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20日
こんなに早出しちゃうと富山に着いてもまだ寿司屋が開いてないじゃないのなどと軽口をたたきながら出発。
幸い一昨日夕方の予報は全く外れて快晴だった。

篠崎先生が「これを見つけられるかが一つのポイント」と書いておられた緑の橋はGPSのお蔭で比較的にすぐに見つかった。(実際に渡ったのは右隣の(赤い)橋)
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白岩堰堤のインクライン滑走ってどこだったんだろう?
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今日はルンルンと安易に考えていたがルーファンは真面目にしなきゃならないし、側壁のデブリ通過も厄介だった。
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デブリ、デブリ、またデブリ、泣き言が出た…。
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平和なところも油断大敵。見た目に騙されてルートミスを2度ほどやった。
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天鳥トンネル。情報戦。
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もうそろそろ立山駅が見えるのかと思うところでついにルートを失った。意を決してシールを付け軌道へ向かって崖を10m登ったら先が開けてやり直し。(見た目よりも地形図を!湯川谷・常願寺川の下降でシール登行はありません。)

そんな中、血と肉が残された霊長類の腰骨から足の指までの骨が雪の上に落ちていた。
小動物に肉をきれいにこそげ落とされていたが、これも自然の営み、輪廻転生。
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余りに長大なルートに悪態をつきながら、そして少し不安になりながら堰堤のスロープをとぼとぼと登りきると、唐突に立山駅が見えた!
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そしてついに除雪終了地点へ。
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いやぁ、長かった。言い訳の余地のないくらい条件が良かった今日だけでも6時間。昨日の行程を併せるとザラ峠から立山駅まで11時間4分を要した。仮に昨日の条件が良かったとしても私の足では1泊では抜けられない長大なルートだった。

Map_Sarasara_R.jpg



【さいごに】
こんな体力もない私がこのルートにひそかな憧れを持っている事を知って誘ってくれ、2日半ずっとリードし続けただけでなく嫌な顔一つせずにテント内生活のあれこれまでしてくれたよねちゃんには感謝してもしきれません。あなたが誘ってくれなかったらこの山行はありませんでした。もうロングルートが厳しくなってきた私、よねちゃんには心から感謝しています。本当にありがとう。

また、湯川谷・常願寺川のルートを無雪期に調査し、それを惜しげもなく提供してくれたまっちゃんにも厚くお礼申し上げます。





やっぱ、黒部って特別だね!




自分Memo (就寝時装備)
シュラフ)Down Hagger 800 W's #5(Montbell) 、ツーレイヤーシュラフカバー(←)
マット)NeoAir Xlite W's (Thermarest) ←寝心地・断熱性非常に良い。
下)化繊下着、スキンメッシュタイツ(finetrack)、メリノスピンサーモタイツ(←)、クライマウォームアストロパンツ(Adidas)、シェルパンツ(Patagonia)
上)スキンメッシュロング(finetrack)、メリノスピンサーモロング(←)、Desna Jacket(短毛フリース:MHW)、ニューモラップ(finetrack) 、ポリゴン4ジャケット(finetrack)、Goreアウターシェル(Haglofs)
足元)5本指薄手ソックス、替えソックス、羽毛テントシューズ(Montbell)、テントシューズカバー(←)
(行動時にはいていた薄手ソックスを脱がなかったため、二晩目は足が冷たく眠りが浅かった。)
頭)Desna Jacketフード、フリース製バラクラバ (←2重にすることで首筋が非常に暖かい)

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