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12GW 黒部源流スキー縦走 脱出編

【The Day 8】 55日 曇りのち晴れ (祖母沢、無名沢、北ノ俣岳西面、飛越新道)

11/12シーズン滑走30日目 W/まっちゃん
Manaslu(161cm), TLT Speed Radical, TLT5, Speed Skin
まっちゃん:Mustagh Ata(165cm), Onyx, Radium, Speed Skin

高天原温泉BC4:25→7:02雲の平2576P→祖母沢・無名沢滑走→8:00黒部川渡渉8:56→9:17赤木沢SB渡渉→11:50北俣岳12:10→西斜面滑走→寺地山ハイク13:00→15:45飛越トンネル16:00→16:45飛越トンネル4.3km先

大袈裟なタイトルは客寄せパンダ。大した話はありません。

予報では午後からは雷雨、明日も荒れそう。午前中の一瞬の天候回復にかけて下りられるところまで行くことにする。前夜は森の上空を強風が吹き荒れテントの上には10cmくらいの雪が積もった。雲ノ平の稜線で衣服の濡れと強風による寒さに苦しめられる自分を想像して眠りが浅い夜だった。 
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この3日間続いた雨による崩壊が気になっていた岩苔小谷のスノーブリッジはまだまだたくさん残っており全く問題なく高天ヶ原峠の尾根に取り付くことがでた。第1関門突破。
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少しずつガスが上がり始め、主稜線が見えるようになってきた。
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雲ノ平が近づく頃には青空がのぞくようになって、ようやく心に余裕が出始めた。
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雲ノ平では強風に苦しめられることもなく祖母沢にドロップしたが、カリッカリのアイスバーンでちっとも楽しくなかった。もっともそれは贅沢というものだろう。

祖母沢源頭部。さっきまで隠れていた黒部五郎が顔を出した。
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途中で無名沢に入りドンピシャ往路の渡渉点に出た。心配していた増水もなく、難なく渡渉に成功し、第2関門突破。
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渡渉で冷たく冷え切った足を暖めてくれる日差しがとても有難い。無事黒部川を渡れて安堵のひととき。
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中州にかかっていた小さなSBもなんとかセーフ。
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一番心配していたのは赤木沢のスノーブリッジ。沢の上部へ行けばもちろん雪がつながっているが、両岸が切り立ってくるので登り降りが困難になる。これが渡れない場合はウマ沢を稜線まで登らなければならず大きな遠回りを余儀なくされる。往路で渡ったスノーブリッジの崩壊は目に見えているので少し上流へ回り込むと上手い具合にしっかり雪がつながっていて無事対岸へ渡れ、これで最終関門も突破。

赤木沢に残っていたスノーブリッジ。
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あとはひたすら登るだけだ。赤木平を過ぎ、北の俣岳の大斜面を登るころから早くも上空を雲が覆い始めた。
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ペースアップで苦しくなっても足だけは止めず亀の歩みで息を整え、またペースアップ。普段のインターバルトレーニングの心拍数の推移を脳裏に浮かべてがんばる。
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そしてなんとかまっちゃんに大きく差をつけられることなく山頂へ到着した。今日は北ノ俣岳避難小屋まで行かれれば御の字と思っていたが、ここでまっちゃんと異口同音に「今日中に降りよう!」
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ガスで見えなくなった黒部五郎に別れを告げて北ノ俣岳西面の大斜面にドロップイン。だいぶ重くなった雪ではあったがそこそこ楽しくシュプールを描いてあっという間に避難小屋付近まで降りた。
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標高を下げると天気は安定。
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あとはもう雷が来て樹林帯が続くので一気に気が楽。稜線付近と違って天気もよくなり、寺地山からのあまり面白くないジェットコースターをこなし、飛越トンネルからは驚くことに雪がまったくなくなり様相が一変してしまった舗装路を車まで4.3km歩いて無事下山した。

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1週間前にあれほどあった雪が完全に姿を消していた。 

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********************************

今年で3年連続となったGWの黒部横断。1年目は広河原の増水で敗退、今年は金作谷出合のスノーブリッジの崩壊で敗退。なかなかうまくいきませんが、今年もこの時期人跡稀な秘境を堪能してきました。

毎回体力的な不安に付きまとわれ、事実まっちゃんには迷惑を掛けているのですが、最終日の時間との闘いの中で何とか付いて行けたことがちょっぴり自信になりました。これで平素の苦しい持久力トレーニングに力が入るというものです。

来年は還暦黒部横断やるか!?

最後になりますが、7泊8日という長期の山行とテント生活において何事もダメダメな私を明るくリードしてくれたまっちゃんにはいくら感謝してもしきれない気持ちです。

まっちゃんがいたからこそできた縦走、心から感謝!!

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コメント

yuka

雪山
記録、楽しく拝見させて頂きました。
常吉さんが滑った辺り、昨年の秋に縦走しましたので、ちょっと親近感。(笑)
雪山って、同じ季節であっても状況が全然違うんだ…改めて雪山の難しさを感じました。
知識・体験・技術・そして精神力をフル稼働しなくては行けない山。
雪稜然り、アイスクライミング然り、山スキー然り、雪山が山男の本懐だというのも分かるような…
次回お会いするとき、お互いに真っ黒でしょうね。
先日の北穂で日焼けしてしまい…私、鼻の頭の皮が剥けてしまい悲惨です。(T_T)

Coupe Camper

スリリングですね~!
本当に凄いです!!
雪山は怖いけど、写真は本当に美しいです!

常吉

yukaさん、

あの山域、一度滑ったら病みつきだよ。GWは小屋も開いてることだし絶対お勧め。
是非来年行ってみてください。

ところで雪山の日焼けは油断してると酷い目に遭うねぇ。
治らない内に会おうか?
笑わして!

常吉

くーぺきゃんぱーさん、

まっちゃんはすごいけど、私はすごくないです。
ただのおまけです。

残雪期は天候さえ選んで行けば素晴らしいですよ!
奥日光光徳付近の日帰りハイキングでも別天地です。

☆マコト

はじめまして。
長期ツアーお疲れ様です。素晴らしいツアーですね。
私も丁度その時期に4/29~5/2で室堂→新穂高を行ってきました。
天気がよければ、高天ヶ原もよるつもりでしたが、あきらめました。

記録を拝見させて頂き、やはりいつか高天ヶ原に足を伸ばそうと改めて感じました。

常吉

超お勧めです
☆マコトさん、
コメントありがとうございます。

室堂→新穂高の縦走成功おめでとうございます!
私は未だ行っていませんが、一度はやっておきたいルートです。

黒部源流エリアはいいですねぇ。特に高天ヶ原温泉ベースでの水晶はお勧めです。今回は滑りませんでしたが北アルプス最奥の赤牛滑走もできますし。

あまりにいいロケーションだったので来年も行くかもしれません。お会いできたらいいですね。

非公開コメント

常吉

メロー系山スキーヤー兼万年初級クライマー。

GWに6泊か7泊で行く黒部横断スキー縦走と夏の剱での簡単なアルパインクライミングが年間を通じたメインの山行。その他の活動はそれらの下敷き的位置付け。

2019年2月に食道癌(Ⅲ)が発覚。全ての治療も完治には至らず、2022年7月から緩和ケアへ移行予定。

プロフィール

常吉

Author:常吉
メロー系山スキーヤー兼万年初級クライマー。

GWに6泊か7泊で行く黒部横断スキー縦走と夏の剱での簡単なアルパインクライミングが年間を通じたメインの山行。その他の活動はそれらの下敷き的位置付け。

2019年2月に食道癌(Ⅲ)が発覚。全ての治療も完治には至らず、2022年7月から緩和ケアへ移行予定。

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